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教育用系統

・メンデルの法則を確認するための実験
アサガオには子葉の段階で表現型に現れる変異が多く保存されている。また、アサガオは開花前に自動的に自家受粉する仕組みを備えており、多くの種子は自家受粉(セルフ)で結実したものである。
 以上のことを利用して、播種し発芽後すぐに計数できる変異をヘテロ接合の状態で保存されている系統を用いれば簡単に短期間で遺伝の実験を行うことができる。また、蕾が着くまで鑑別できないが、不稔の強い八重咲き(千重咲)の牡丹(dp)変異をヘテロ接合で持つ系統も多く、これも1/4の確率で分離してくる。
単性雑種の実験:Q400番代の獅子(fe)系統やQ600番代の柳(m-w)系統が子葉の形質が明確で使いやすい。前述したように牡丹(dp)まで計数すると2性雑種の実験にも利用できる。渦小人(桔梗渦(s)と渦(ct)の2重変異体が1/4の確率で分離してくる系統(Q837等)もあるが、胚軸が短く少し深く播くと発芽に失敗するため実験には向いていない。同様に燕(mi)や細柳(m-n)系統も実験に使うのは注意が必要である。ただし、子葉が著しく小さいため、種子も痩せており、種子の段階である程度区別できる。
2性(両性)雑種の実験:Q400番代で獅子(fe)と笹(dl)を持つ系統やQ600番代で柳(m-w)と笹(dl)が分離する系統では子葉の段階で、形質が9/16: 3/16: 3/16: 1/16に分離することが確認できる。牡丹(dp)を持つ系統では花まで観察すれば3性まで確認できる。
3性雑種: この実験にも使える系統があるが、統計的に適合する分離比を得るためには300株以上計数する必要がある。

・組換え率の計算
子葉の段階で鑑別可能な連鎖した形質を持つ系統で、2遺伝子間の組換え率を計算することができる。
ただし、劣性ホモ接合個体と交配した次代の計数ではなく、自家受粉したF2株の計数になるため、組換え率の計算は少し煩雑になる。現在利用できるのは黄葉(y)と柳(m-w)をヘテロ接合で維持しているQ665等である。また、黄葉(y)と柿(dy)をヘテロで持つ系統もあるが、かなり強固に連鎖しており(1.3%)、組換え体を得るためには100株以上計数する必要がある。現在、南天(ac)と暗紅(mg)等、他の組み合わせを持つ系統も育成中である。後述する、不完全優性の獅子(fe)と丸葉(Co)変異も近い位置にあり、組換えの実験に用いることができる。

・いろいろな遺伝
補足遺伝子:アサガオにはr1白、r3白、a3白、ca白、c1白等、複数の白花変異が知られており、これらを2重ヘテロで持つ系統が育成されており、この系統の種子を播種すると9/16が有色花、7/16が白色花を付け、c1を持つ系統以外では胚軸(子葉軸)の色でも鑑別できるため非常に簡便である。
不完全優性:マルバアサガオの白花変異と紅花、野生型花色等の系統を交配すると不完全優性が確認できる。Q400番代の持つ獅子(fe)も不完全優性を示し、ホモ接合、ヘテロ接合、野生型と葉が抱える強さが三段階になり、播種後、本葉が展開すればすぐに計数できる。また翼片のない、丸葉(Co)、芋葉(Gb)も不完全優性を示し、ヘテロ接合株と野生型では翼片の切れ込みの深さが異なり鑑別できる。
致死遺伝子:クロロフィルが合成または蓄積できずに白から淡色の子葉を示す複数のアルビノ系統が知られており(Q550、Q665等)、発芽後1週間から10日で枯死する。ただし教科書に例として出てくる、優性変異がホモ接合で致死になるケースとは異なることに注意。

・ABCモデルによる花の形態形成モデルの説明
この実験に適した系統として、B変異に相当する無弁花(cd-ps)とC機能変異(牡丹;dp)を併せ持つ、Q607(稔性が低いため現在提供していません)やQ968が利用できる。

・生理学的実験
ムラサキ(Q79)は教育目的でも広く用いられており、他の系統と比べ廉価で提供しているため、花芽の誘発条件の実験等、様々な生理学実験に用いることができる。

 

 

 

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