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コラム

不定期にアサガオ関連の情報を載せていきます。関連するページに貼ったコラムをここにまとめています。

コラム:アサガオには虫がつかないのが常識だった

文化5-11年(1808-1814)に出た朝顔図(奈良県立美術館蔵)には、いろいろな朝顔の狂歌が集められています。その中に次のような狂歌があります。

朝顔は 葉さへ 花さへ その実さへ けんごし(牽牛子)にして 虫もすさ(荒)めず


 江戸期の菊の園芸書などを見ると、今のように良く効く農薬もない当時の人は病虫害の駆除に大変苦労したようです。しかしアサガオには虫が付かないというのが当時から長い期間、栽培家の常識だったようで、昔のアサガオの園芸書には病虫害の駆除にほとんどページが割かれていません。私が子どもの頃、変化朝顔に出合って毎年栽培していた時も全く消毒していませんが、健康に育っていました。
 しかし、現在では、成長点にいつの間にかついて、アサガオが伸びなくなってしまうホコリダニ、花がオオタバコガによってぼろぼろにされ、白さび病で縮緬系が全滅してしまうなど、苦労が絶えません。これも外国から病虫害が入ってきたり、温暖化によって冬期に死滅しなくなっいることが考えられますが、すべて対処できる農薬が見つかっています。
  ちなみに、古今和歌集(延喜5年;905年)の矢田部名実(やたべのなざね)による
「うちつけに こしとや花の 色を見む 置く白露の 染むるばかりを
という歌があります。けにこし(牽牛子)を、げに濃し (ほんとうに濃い)に掛けていますね。

最初の虫も荒めないという狂歌、アサガオの種子(牽牛子)は当時、強い下剤として知られており、葉っぱや花も同じ成分が含まれるから虫が付かないのだ、という意味ですが、安直すぎるので何かに掛けているのでしょうか。知っている人は教えてください。 2016/5/7

参考文献;岩淵令治、平野恵 他(2000) 伝統の朝顔III 作り手の世界、国立歴史民俗博物館

 

コラム:吉田秋艸園の達観

第三次ブームの先駆けを為し、変化朝顔(浪速蕣英会では、奇生花とよんでいた)だけでなく大輪朝顔の発展にも多大な貢献をした、吉田宗兵衛氏(秋艸園)は次のような歌を詠んでいます。
「面白の千筋に分けて流れけりもとは一つの谷川の水」
(浪華蕣英会雑誌5号 明治44年、1911年)

吉田翁がアサガオを栽培を始めた当初は、江戸期から残存していた系統はそれほど多くはなかったと思いますが、これらを集め、愛好会を盛り上げていくうちに、数え切れないほど多様なアサガオの品種が増える様を目の当たりにしたのだと思います。栽培を通して、たった1種類の(青い)アサガオがこんなに変化を遂げたのだということを実感し、感嘆した思いを詠んだのでしょう。欧米で育種された多くの園芸植物は、複数の原種を用いており、種間雑種によるバリエーションも増やしていますが、たった1種類の原種からここまで多様性に富んだ品種(変異)がある園芸植物は世界的にもアサガオくらいです。
  なお、吉田秋艸園の現在でも残る功績で大輪品種の育成以外では、鍬形千鳥葉を「蝉葉」と命名、行灯仕立ての考案なども挙げることができます。2016/5/7

 

コラム:アサガオの学術研究が始まって100周年

アサガオはメンデルの法則の再発見以降、遺伝学の実験材料として利用され、最初の論文は1916年の日本育種学会会報、第1巻に2報の論文が掲載されたのが最初です。 ちなみに、この日本育種学会は現在の日本育種学会ではなく、1920年に設立された日本遺伝学会の前身です。外山はカイコを使って日本で初めてメンデル則の研究を行ってことでも良く知られています。以下のリンクをクリックするとオリジナル論文(PDF)を見ることができます。

Toyama, K. (1916) On some Mendelian characters. J. Jpn. Breeder's Assoc. 1(1):1-9.(外山亀太郎 一二のMENDEL性質に就いて)

Takezaki, Y. (1916) Inheritance of the Japanese morning glory. J. Jpn. Breeder's Assoc. 1(1):12-13 (竹崎嘉徳 アサガオの遺伝)2016/5/7

 

コラム:アサガオの栽培ブームが始まってざっくり200周年

2016年は、大阪(大坂)で最初の朝顔図譜、花壇朝顔通が出版されたのが、文化12年(1815年)、江戸で最初の朝顔図譜、あさかほ叢が出版されたのが文化14年(1817年)です。ざっくり言えば、アサガオブームが始まって200周年の年になります。最初の学術研究が始まって100周年の年でもあり、アサガオ界では100年ごとに大きなイノベーションが起こっていくのでしょう。 さて今年はどんなことが起きるのでしょうか。そうです、あれしかないですね。2016/5/7

 

左図:花壇朝顔通に載っている「八ッ橋」(今で言う、雀斑または時雨絞の立田)

 

 

 

 

 

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