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変異の命名規約

遺伝子記号は動植物の材料ごとに命名規約が異なっており、統一されていない。アサガオは戦前から今井、萩原ら日本人研究者によって遺伝学研究の材料として用いられており、当時主要な材料であった、キイロショウジョウバエ、トウモロコシ等の影響を受けた命名法を採用している。
 しかし伝統的な命名方法は、分子遺伝学的知見が集積し、またウェブなどインターネット上のデータベースの利用が盛んな現在では以下のような問題点がある。

  • アレル(対立遺伝子)名は肩字(superscript)で表記されるが、これもウェブサイト上では表記がやや煩雑で、プレインテキストにすると区別が付かない。

(対策)シロイヌナズナで用いられているように、アレルはハイフン(-)の後に表記する。a-3のように使われていた過去の遺伝子記号はハイフンを除きa3とする。 従来の肩字(superscript)の表記も有効であり、a3-fa3fは同じ意味である。

  • 別の遺伝子座として記載されていた変異が既知の遺伝子座のアレルだと判明したものも増えている。

(対策)アレル名として改名する。(例)八重咲(pt)は牡丹(dp)遺伝子のアレルであった。そのため、dp-ptと表記する。

  • 最初に見つかったアレルが劣性の場合は小文字、優性の場合は大文字としているが、将来優性、劣性の両方のアレルを含む遺伝子座も増えてくることが予想される。ただし、交配実験を行う上で優劣が明示されていることは有用である。

(対策)アレル名の最初を優性(不完全含む)アレルでは大文字、劣性では小文字とする。(例)吹雪(Bz)はa3の優性アレルのため、a3-Bzとする。

  • 初期に見つかった変異体は一文字の遺伝子記号を使っているが、ヒットする候補が多くなり検索が困難である。

(対策)アレル名を常に表記する、または遺伝子記号を長くする。(例)立田(m)変異のほとんどは1種類だったため、m-1と表記する。桔梗渦(s)も同様にs-1とする。

 

アサガオの変異名は以下のように付けている

1.字体について:その変異の特徴を表す英語表記の、既存の変異名と重複しない、アルファベット小文字から始まる2文字以上の斜字体(イタリック)で表す。数字も使用できるが、最初は必ずアルファベットにする。できるだけ日本語の変異名も考案する。

2. ヘテロ接合の遺伝子型を示す場合は、スラッシュ(/)で区切る。省略した場合はホモ接合の遺伝子型を示すが、強調する場合はヘテロ接合と同様にスラッシュ記号を用いる。(例)A3/a3-f  a3-f/a3-f

3.アレル(対立遺伝子)について :遺伝子記号の後ろにハイフン(-)を頭に付けて表記する。劣性のアレルは単に数字または小文字のアルファベットから始まるアレル名を付ける。優性(不完全優性も含む)は大文字のアルファベットから始まるアレル名を付ける。野生型のアレルは全て大文字の遺伝子記号で示すか、アレル名のように、ハイフンの後に+またはWTを付けるか、または対応する野生型遺伝子が明確な場合は、単に+またはWTの記号で表す。(例)a3-f、A3、CT/ct-1、a3-WT/a3-f  a3-+/a3-f  +/a3-f

4.複数の遺伝子記号は半角スペースで区切る。座乗している染色体が別染色体であることが明らかな場合かつ別染色体に座乗していることを示す必要がある場合、遺伝子記号の間を;(セミコロン)で区切る。y-1 m-w; ct; pr

5.同一染色体に座乗している変異で染色体上の位置が明らかな場合はその順番に従う。座位が不明な場合はできればアルファベット順にする。
y m-w ct pr

6.変異に対応する原因遺伝子の名称は全て大文字の斜字体とする。またタンパク質は普通の大文字とする。植物で一般的な遺伝子名またはシロイヌナズナ等の植物で先行して解析されている遺伝子名を用いることもできる。 (例)紫 pr変異  PR遺伝子(InNHX遺伝子)、PRタンパク



            

          
   
      
           
  

 

 

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