マッピングによる変異遺伝子座の決定
日本の変異系統は少ない起源系統に由来しており、バックグランドはほぼ同じと考えてよい。そのため、位置を決めたい変異を持つ系統と、多型を保有する東京古型標準型(TKS; Q1065)と交配し、F1世代において自家受粉で採種し、F2世代で目的の変異がホモ接合になった個体を選ぶ。
次にこの個体からDNAを抽出し、indel(insertion-deletion)マーカーのプライマーペアか、CAPS(Cleaved Amplified Fragment Lenght Polymorphisms) マーカーのプライマーペアで増幅し、後者では増幅後、制限酵素で切断し、電気泳動によってDNA断片のサイズを推定し、日本型(ムラサキ型 V)かTKS型(T)のいずれの断片が増幅したか調査する。
TKSは染色体によっては変異系統と交雑履歴があり、多型が少ない染色体や染色体領域が見られる。そのため全染色体に渡って、変異系統との多型が均等に分布しているネパール系統(Q62)はマッピング親の良い候補である。CAPSに関してはTKSと変異系統で利用できるマーカーの多くがネパール系統でも利用可能である。
TKSとムラサキ(Q79)の全ゲノムを比較し、1塩基多型(SNP)を抜き出したリスト(44万箇所以上)
TKSとムラサキ(Q79)の全ゲノムを比較し、挿入欠失を挟むようなプライマーセット(座乗染色体を決める目的)
CAPSマーカーの作製には上記のリストから作りたい位置の染色体・塩基を選び、アサガオのゲノムブラウザに、例えば chr1: 307471 をペーストするとその塩基が表示される。左のリストからreference sequenceをクリックした上で、少し縮小して、reference sequenceの右の矢印をスクロール、Save track dataで該当領域を少し広く保存。その上で、この多型を不均等に挟む位置(500bp と300bpなど)にプライマーを設計する。
NCBIのprimer BLAST等を利用してもよい。