アサガオの生理学
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花成生理学序論
バーナリゼーション

 花成を制御する環境要因は光周期だけではない。温度も重要な役割を果たしている。越年性植物や二年生ロゼット植物では、0〜10℃の低温に数日〜数週間遭遇することによって、常温に戻されたときに花芽を形成するものがある。このような低温による花成の誘導をバーナリゼーションまたは春化という。
 バーナリゼーションは長日植物に例が多いものの、光周反応性との関係はない。冬作穀類では吸水させた種子のときに、ヒヨスの二年生品種ではロゼットのときに低温に感応する。いずれの場合も、低温に感応する部位は茎頂分裂組織である。
 低温によって作られる花成誘導物質が仮定され、バーナリンと名付けられているが、その実体は不明である。低温感受部位は茎頂分裂組織で、花芽が形成される部位と同一だから、光周的花成の場合のように伝達性の物質を想定するべき理由はない。茎頂分裂組織で生産され、その場で機能する活性物質を想定することはできるが、低温刺激を受けてから花芽が形成されるまでの時間が長いので、低温で生産された物質が花芽形成に直接関与するとは考えにくい。これらのことから、バーナリンと呼ぶべき物質は想定しにくい。


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