fe (fethered) 獅子 しし 獅子変異単独では花に主な形質が出る乱菊に似た変異であるが、打込1(cm1)と他の修飾変異を持つものは、全体が乱れてゆがみ矮性となる。 子葉:野生型に近いが非常に弱く抱え翼片(耳)の先が細くなる。修飾変異を持つものは、子葉軸や子葉柄が長く伸びて歪み、葉も強く抱え込む。抱えの程度と葉や花のレベルは相関がある。 通常葉:翼片がやや短く丸くなり、微かに抱え、これは獅子葉と呼ばれる。修飾変異を持つものは、葉柄が長く伸び、葉も強く抱え込む。 花:副次的な曜が発達するため、花弁数が増え、乱菊(py)の花のようになる。また花筒の外にしばしば附属弁が付く。生殖器官の発達が不良で稔性は非常に低い。修飾変異を持つ系統では、しばしば花弁が管状になり不稔となる。 その他:従来、このような弱い獅子を乱獅子(fe-c; fethered-creased)と呼び、獅子の弱い対立遺伝子(または原始的)と考えていたが、現在鑑賞用に用いられる獅子系統もこの遺伝子自体は当初から変異は起こっていないため、変異として分けるのは誤りである。現在多く見られる管状の花弁を持つ獅子系統は、この獅子変異に加えて、打込1(cm1)と他の修飾変異を持ち、葉の裏を表にする程度まで抱え込んでおり、葉の裏側にも柵状組織が発達する(背軸側の向軸側化;つまり葉の裏側が表側組織に転換)。このような修飾変異を持つ獅子系統は優性の葉の形質を示し、ヘテロ接合体(親木)では野生型とのホモ接合体の中間型になるため、系統維持が簡便になる。 園芸的特性:変化朝顔の3大ジャンルの一つ、獅子(牡丹)=花の部の主要変異として非常に重要。ただし、上に述べたように打込他の変異をもち、花弁が、風鈴(太めの管弁の先端が折り返したもの)、管弁(細めの管弁の先端が少しだけ折り返す)、髭弁(非常に細い管弁)のような芸を示し、全ての花弁が揃う(総風鈴・・などと称される)ものが鑑賞価値が高いとされる。これらの芸の強度の違いは、獅子変異に加えて併せ持つ修飾変異の数または程度の違いによる。そのため、獅子系統の育種はこれらの修飾変異もホモ接合にする必要があり、困難を伴う。丸葉(co)遺伝子が獅子の遺伝子座に近いことを利用したトランスヘテロ系統も多く、獅子の優性を利用するよりも簡便に系統維持ができる。 |
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