試供種子の情報@分子生物学会年会2011

今回お配りしたパンフレットには、色や大きさの違う7種類の系統が1粒ずつ入っております。
アサガオはていねいに栽培すれば1粒から確実に栽培・採種することができます。

詳しい栽培方法は次のページを参照してください。最も重要なポイントは暖かくなって(できれば6月以降)、種皮にナイフや爪切り等で水を吸うように傷をつけてまく点です。傷をつけてまかないと発芽が遅れるか、場合によってその年には発芽しません。


系統の説明

Qで始まる番号は九大のオリジナル系統の系統番号です。

-----アサガオ(Ipomoea nil)系統-----

いずれも出物系統と呼ばれる、不稔(種子ができない)変異をヘテロ接合の状態で維持している系統です。そのため、メンデル則に従って不稔の株(出物)が毎世代分離してきます。出物は種子ができないため、種子のできる兄弟株(親木=ヘテロ株)から採種しますが、次第に出物が出なくなるため、できれば株別に採種して、出物が出ない株由来の種子は廃棄することを繰り返して維持します。

Q683

茶色(br)大型種子

1 2
(花銘)(1)青蜻蛉丸笹葉桃覆輪切咲[出現率3/4]、分離株(2)青蜻蛉丸笹葉桃覆輪切咲牡丹[1/4]

形態に関する保有変異は、蜻蛉葉(dg)、丸葉(co)、笹(dl=FILのオーソログの変異体)、牡丹(dp=AGのオーソログの変異体)を持っており、牡丹は不稔のため、ヘテロ接合で維持しており、1/4の確率で分離してきます。

花色は、暗紅(mg=F3'H)と紫(pr=NHX)の2重変異体である紅色に淡色化変異が加わり、桃色(淡紅色)になっています。また、花弁の縁が白くなる覆輪(Mr=DFR-B)も持っています。種子は褐色種子変異(br)の影響で褐色になります。

蜻蛉葉変異の影響で花も大きく、牡丹咲ではカーネーションのような豪華な花になります。

Q441

野生型(黒色)大型種子

1 2 3 4
(1)青抱並葉紅紫覆輪丸咲[9/16]、(2)青抱並葉紅紫覆輪丸咲牡丹[3/16]、(3)青握爪龍葉紅紫覆輪風鈴獅子咲[3/16]、(4)青握爪龍葉紅紫覆輪風鈴獅子咲牡丹[1/16]

形態変異; 蜻蛉葉(dg) 、獅子(fe)、打込1(cm1)、管弁化因子1(mf1)、牡丹(dp)。feとdpはホモ接合になると不稔になるため、両方を2重ヘテロに持つ株を使って維持しています。そのため、種子をまくと上の写真のようにメンデルの2性雑種の分離をします。fe=KAN1のオーソログ。

花色変異; 暗紅(mg)、覆輪(Mr)

背軸側(裏側)の器官が向軸側への転換が起こっているため、葉が強く抱え込み、花弁も抱え込んだ結果、融合して管状になり、先端が折れます。この花弁は風鈴と呼ばれています。

Q660

白色(ca)大型種子
1 2 3

(1) 青斑入弱渦南天葉白剣咲。ヘテロ形質は未テストなので、牡丹咲(2)、針葉采咲、 針葉采咲牡丹(3)が出てくる可能性があります。

形態変異; 弱渦(ct-w)、南天(ac)、牡丹(dp) 、柳(m-w)

花色変異; ca白 (ca)

葉色変異; v

上のQ441とは逆に南天変異(AS1のオーソログ)を持っているため、向軸側(表側)の背軸側(裏側)化が部分的に起こっています。弱渦は渦(ct)の弱い対立遺伝子で、おそらくブラシノステロイドに関する変異体です。

Q635

黒褐色黒縞(v)中型種子

1 2

(1)青斑入弱渦葉藤色覆輪丸咲[3/4]、(2)青斑入弱渦柳葉藤色覆輪撫子采咲[1/4]

形態変異;弱渦(ct-w)、柳(m-w)

花色変異;紫(pr)、淡色化、覆輪(Mr)

葉色変異;斑入(v)

斑入葉では種皮に必ず黒い縞が入ります。

-----近縁種系統-----

アサガオの近縁種のマルバアサガオ(Ipomoea purpurea)等で、種子は小型です。アサガオと比べて丈夫で毎年こぼれ種で生えてくることがあります。

Q41 

野生型(黒色)小型種子

マルバアサガオ紫条斑点絞り

Q80

白色 小型種子  

マルバアサガオ白髭咲

Q1169
黒色超小型種子

キバナルコウソウ