肥後朝顔(洲浜突然変異; retracted
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 肥後朝顔は大輪朝顔と同様に州浜変異持つ、熊本で保存されている一連の品種群で、基本突然変異は洲浜(retracted; re)であり、葉は青斑入洲浜葉(千鳥葉)で花は中輪花を咲かせる。特に花筒は白く大きく抜けている、陽光抜けと呼ばれるものだけが鑑賞される。また肌脱ぎ(brim vein; bv)を持っている系統が多い。熊本は古来、園芸の盛んなところで、肥後六花と呼ばれる、肥後椿・肥後芍薬・肥後花菖蒲・肥後朝顔・肥後菊・肥後山茶花について独自の品種群を育成している。肥後朝顔もその一つであり、起源は恐らく大輪朝顔と同じで、江戸後期に出現した州浜系統が九州に渡り、熊本で栽培されていたものに由来すると考えられる。幕末のころの細川藩士の文書にも現在の司紅(つかさべに;青斑入洲浜葉紅筒白)に酷似した系統が記載されているという。明治32年(1899)に肥後涼花会が発足し、系統の純粋性と厳格な栽培方法を守って現在まで系統の保存活動を行っている。展示会は初夏と秋に、それぞれ熊本城と熊本市立博物館で開かれている。

 肥後朝顔を特徴づける栽培方法は、”小鉢本蔓一幹作り”または行儀作りと呼ばれる。すなわち縦長の塗り鉢である天草焼の植木鉢に植えて、本蔓を伸ばし草丈は鉢の高さの3倍程度に抑え、本葉5〜7枚目までに第一花を咲かせ、第三花まで鑑賞するというものである。その後は畑に植えて採種される。

以下に一部の系統を示した。太字は品種名を示す。写真をクリックすると写真が拡大します。

常磐山:瑠璃色無地

司紅:紅色無地

松月:青色地に白縞

春月桃色無地

老松:濃海老茶色無地

法衣(のりごろも):黒色無地

磯千鳥:青色地に白絣

肥後朝顔の品種説明

色系統

品種名

読み

色の説明

黒色系

法衣

のりごろも

黒色無地

岩清水

いわしみず

黒色地に白縞

岩越波

いわこすなみ

黒色地に白大縞

岩戸雪

いわとゆき

黒色地に白絣

佐野渡

さののわたり

鼠色地に白絣

紫色系

小倉山

おぐらやま

小豆色無地

殿上人

でんじょうびと

小豆色地に白絣

紫衣

むらさきごろも

紫色無地

養老

ようろう

紫色地に白絣

藤衣

ふじごろも

藤色無地

藤川

ふじのかわ

藤色地に白絣

紅色系

司紅

つかさべに

紅色無地

龍田川

たつだがわ

紅色地に白縞

新龍田川

しんたつだがわ

紅桃色地に白縞

雪神橋

せっしんきょう

紅色地に白絣

桃色系

春月

しゅんげつ

桃色無地

春の川

はるのかわ

桃色地に白縞

春の雪

はるのゆき

桃色地に白絣

茶色系

老松

おいまつ

濃海老茶色無地

宇治川

うじがわ

濃海老茶地色に白縞

宇治時雨

うじしぐれ

濃海老茶地色に白絣

高砂

たかさご

淡海老茶色地に白縞

枯野雪

かれののゆき

淡海老茶色地に白絣

淀川

よどがわ

茶移白地に濃海老茶縞

時雨傘

しぐれがさ

濃茶色地に淡茶縞

青色系

常磐山

ときわやま

瑠璃色無地

御狩宿

みかりのやど

瑠璃色地に白縞

松風

まつかぜ

青色無地

松月

しょうげつ

青色地に白縞

磯千鳥

いそちどり

青色地に白絣

磯打波

いそうちなみ

淡青色無地

天の原

あまのはら

空色無地

天廼川

あまのかわ

空色地に白縞

白色系

白波

しらなみ

雪白色


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