アサガオの花模様
覆輪 (Margined; Mr)
覆輪も程度によって普通の覆輪、糸覆輪、爪覆輪、深覆輪のように呼ばれる。優性変異であり、F1は弱い覆輪になる。色々な修飾遺伝子(modifier)が知られており、それらとの相互作用で色々な表現型を示す。
深覆輪 覆輪糸覆輪 爪覆輪
吹雪 (Blizzard; Bz)
吹雪は幅の広いもの(左)を縞とよぶことがある。これらの模様の違いはBz-1とBz-2遺伝子の相互作用によるものだという。淡色地に濃い縞(吹雪)または濃色地に淡色縞(吹雪)のパターンがある。模様は安定しているが、ときおり不安定で咲き分ける系統もある。肥後朝顔では絣(かすり)と呼んでいる。優性変異でF1は淡色地に濃色地の吹雪模様が入る花になる。
吹掛絞 (speckled; sp)
吹掛絞は系統によって変異が多く、不安定なものも多い。地色もやや黄色がかっているものが多い。安定した模様を持つ品種は地色が白く均一な模様を示す。
車絞 (Rayed; Ry)
覆輪の表現が強くなったものだとも考えることができる。実際に覆輪の交配後代で車絞の花がよく出現する。
時雨絞(雀斑)・咲分・染分 (a-3 flecked; a-3f)
a-3遺伝子(本体はDFR-B遺伝子)の中にTpn1というトランスポゾンが挿入しているためアントシアニンを作れず白色花になるが、これが飛び出して色素をつくれるような細胞ができるため、このような模様ができる。転移の時期が早いと咲き分け(花ごとに色が異なる)になり、遅いと染め分け(一つの花の中に違う色ができる)になり、もっと遅いと雀斑状の小さな有色スポットができる。
雪輪(退色性、暈;faded)
色を淡くする変異で、覆輪が入るとその境界が濃くなり、雪輪(または雲輪)と呼ばれる模様を作る。faded-smeary (fds)という対立遺伝子も知られている。
刷毛目絞 (duskish-2 mutable; dk-2m)
写真に示した系統は縮緬葉台咲を併せ持つ、静岡の山中達生氏よって単離・純化された系統。少なくともdk-2 (Q854)を相補しなかった。模様はきれいであるが不安定である。dk-1とdk-2は同じ遺伝子座の変異の可能性が高く、その場合は単純にdkm と表記できる。大輪咲でも稀に見かける。
筒白 (tube-white; tw)
アサガオでは鑑賞上、花色にコントラストがつくため美しい筒白の花の方がよいとされる。花筒だけ抜けているものを日輪抜け、大きく白い領域が広がっているものを陽光抜けという。また花筒が着色するものは”筒汚れ”とも言う。
筒白(日輪抜け) 筒白(陽光抜け) 筒紅
条斑点絞(マルバアサガオの模様)
マルバアサガオにはよく見られる。米田氏が作製した系統でこの形質をアサガオに導入したものがある。咲き分け、染め分け花をよく出すが遺伝性は高く比較的安定している。優性であり、吹雪と同様にF1は淡色地に濃色地の模様花となる。